2011年07月26日(火)

2011-07-26 14:31
グラン トリノ[]
クリントイーストウッド監督作品。「良い映画」と散々言われていたので、なんか逆に手が出なかった。やっと観ました。

ラストが特に良かった。
でも、こんなラストの作品を書いたら「はぁ?全然意味分かんない」とか言われるんだろうな。

ネットで検索したら、質問サイトで「ラスト、何で?」と聞いてる子達が多かった。ギャングスタ達を何故殺さなかったのか?









……以下ねたばれ……

 クリントイーストウッド演じるウォルトは頑固オヤジで差別主義者。息子が(イエローモンキーの)トヨタで営業マンをしているのも、気に入らない。そしょて、二人の息子からも倦厭されている。奥さんが亡くなって、ウォルトは老犬と一緒に暮らしている。


 そんなウォルトの隣に、タイのモン族一家が引っ越して来る。そこの子供、姉のスーと、弟のタオと親しくなって。特に弟のタオは、ウォルトから仕事を紹介してもらって自信を取り戻す。


 ベトナム戦争でアメリカに協力したタオ族は国を追われて、アメリカに移住してるんですね。スーが言います「タオ族の女はアメリカに順応して、大学を卒業して仕事も得ているけど、男が駄目」と。アイデンティティを失ってしまったタオに、「男らしさ」教育を行うウォルトの間に友情が芽生える。


 もちろん、タオのように道を見付けられる子ばかりではなく、徒党を組むタオ族もいる訳で。タオ族のギャングスタは、なんとかタオを仲間に引き込もうとする。

 
 実は仲間になる為の儀式=ウォルトの家のビンテージカー「グラントリノ」を盗むことだったんですが。それが未遂で終わったことが、ウォルトとタオが親しくなるきっかけでした。


 このギャングスタ達は、仲間にならないタオに嫌がらせを続ける。それを知ったウォルトは彼等に仕返しをするんですが、逆にスーが輪姦されるという報復を受けます。


 そこでウォルトは奴等のアジトに行って、態と撃たれて死にます。ギャングスタ達は逮捕され、グラントリノはタオに遺されます。




……以下ラストの解釈……


 まず、ウォルトが偏屈な理由の一つに、朝鮮戦争でのトラウマがあります。朝鮮戦争に行ってまだ十代の子供達を殺し、それで勲章を貰ったことを悔やみ、自分をずっと責め続けていた。


 ギャング達を殺さなかったのは、報復は報復の連鎖に繋がるだけではなく、キリスト教で言うところの「自己犠牲」だったのではないかと思います(自己犠牲=罪人が自分の命を誰かの為に捨てると、罪人の罪は赦され天国に行けるという考え)。亡くなる前に、牧師に勧められてもなかなか行かなかった教会に行ったのもそのせいでしょう。


 ギャングスタ達は、ウォルトを殺害した罪で長期間刑務所に入ります。また、「人を殺した」という罪を一生抱えて生きることになります。そう、ウォルトのように。また、もしかしたら若い彼等は、更正するチャンスを刑務所内で掴むかも知れません。
これが、ウォルトの考えた一番の復讐だったのだと思います。


 劇中何度も血を吐くシーンがあり、(はっきりとは描かれていませんが)恐らくウォルトは末期癌だったのだと思います。診断書を観ながら、ウォルトが珍しく息子に「みんな元気か?」と電話するシーンがあります。死を目の前にして、息子家族が気になったのだと解釈します。



 
これを携帯小説風にするなら……。

 このウォルトが死んだ後に、「なんでこんな行動をしたかと言うと……」なんて遺書が出てきて、不可解な行動の顛末がすっきりするるか、「あいつがこう言っていた」とか友人を登場させて、注釈いれるか。


 いやいや、もっと分かりやすく。ウォルトがギャングスタ全員を撃ち殺して、「ダディすげーよ」と息子達とも和解。そこで末期癌告白、息子家族とタオ一家に見守られながら逝く。ハッピーエンディング、ドーン。だろうな。


 私は1から10まで書かれた映画より、考える、想像する余地をこちらに残してくれる作品が好きだ。観客を信用してくれてる気がするから。

[←戻る]