箱女−愉しく覗き、決して開けるべからず−
[2、箱と箱と箱](1/9)

「覗いたら、目を潰されるかも知れない」と、いう強迫観念は何処から来ているのだろうか。


目の前のこの非現実的な出来事は信じられない癖に、何故か、〜かも知れないという想像(妄想)だけが強く俺を支配する。


「本当に、貴方って――」


面倒臭い――。あ、また思考を読まれている。思考を読まれていると、俺が気付いていることを読まれている。その読まれていることに気付き、パニックになっている状態を読まれている。


読まれ続けるエンドレス。


このサトラレ状態を打破するには、脊髄反射で言葉を口にするしかない。


「――分かった」


意を決して、無我の境地で右目を覗き穴に当てる。ふわっと、何かが睫を掠める。白くて柔らかい物。怯えて目を閉じ――、今度はゆっくり開く。


「ほら、怖くない」


頭上で声がした。視線を動かして、その主を捜す。箱の中だけで存在する藍色の天空に、リリアはいた。





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