メガンテ
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24) 嘘を嘘と見抜けないと
   (掲示板や)ネットを使うのは難しい


                     西村博之





 その夜、私は中山の予想通り、未央の遺作を読んだ。恐ろしかったのは最初の一ページを捲る時だけだった。その後はただ、未央の真っ直ぐな言葉を追った。


「――ミユキは、可哀想な子だった」


 ミユキは勉強もスポーツも人並み以上にできて、容姿だって人目を引くのに、そのどれにも自信が持てずにいた。ミユキが自分自身に自信を持ち、背筋を伸ばして他人の目を見られるようになったのは、私という比較対象を傍に置くようになってからだ。ミユキは私と出会って、変わった。


 ミユキは私が卑屈な態度をとると、喜んだ。私は無知で愚かな子供で、ミユキは賢く聡明な子供。級友達は、馬鹿な私に優しくするミユキを尊敬した。私はミユキの為に、道化に徹することを誓った。ミユキの真意が別の所にあったとしても、ミユキの家で食べるご飯やお菓子は美味しかった。利害が一致していた。私が携帯小説なんて書き始めるまでは。


 携帯小説を書いているだけなら、今までの関係を壊すほどではなかった。運良く、いや運悪く、私はあのサイトに目を付けられてしまった。何も知らない私は単純に喜び、あれほどまでに沢山の人の悪意が浴びせられるとは思わなかった。


 ある人から、私を叩いていた奴等の中にミユキがいたと知らされた。驚かなかった。そんなことは、薄々勘付いていた。でも少しだけ、期待していた。ミユキが私を認めてくれることを。







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