メガンテ
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23) 人は些細な侮辱には仕返ししようとするが
    大きな侮辱に対しては報復する気さえ起きない
    したがって
    人に危害を加えるときは徹底的にやらなくてはならない


 
     マキャベリ
 


 私の意識が戻ったのは、二日後だった。嗅覚の方が先に覚醒し、その薬品の匂いが自分の居場所を分からせてくれた。自宅でなくて良かった。安堵感が体に広がると同時に、意識がはっきりとした。


 ベッドサイドに両親がいたが、意識が戻ったことに喜んでいる風には見えなかった。


「――根本さんは?」


父は一瞬躊躇したが、隠し通せることでないと思ったのか、事実を告げた。


「亡くなった、よ」


心配そうな父の隣で、母は顰めっ面で私を見下ろしていた。怒っている。私の意識が戻ったことより、その怒りに支配されていた。


「お母さんは、こんなことになって良かったと思っているよ。これで貴女は行くあてがなくなった訳でしょ?」


こんなことになって良かった?つまり、根本が死んで良かったと言っているのだ。母の言葉を聞いて、私は拳で涙を拭った。母はこんな人間だったのか。自分の娘に、優しい言葉一つもかけてやれないのか。







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