メガンテ
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22) 人、一人が狂うのは希である。
    しかし、集団・政党・国家・時代などに於いては日常茶飯事である。

                      


                       ニーチェ



「美幸、どこに行くの?」


次の日の朝、私は当然のように出勤の準備に取りかかった。ここ数日、昼過ぎにしか起きてこなかった私の登場に、母が激しく動揺している。


「仕事に行く。こんなに休んでたら、クビになる」


「こんなって、まだ一週間しか休んでないじゃない?このくらいで、クビなんかには……
。ねぇ、お父さん」


父はそれには答えず、深い溜息を吐いた。


「お前が勝手にやったことだろう?美幸には自分で説明しなさい」


「ちょと、お父さん!」


父は新聞を握りつぶすように掴むと、出勤時間より大分早く出て行った。母はそんな父を玄関先まで追いかけたが、直ぐに乱暴なエンジンの音が響く。振り切られた母は、落ち込むどころか、顎を上げて戻って来た。そこで母が開き直ったのが分かる。








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