メガンテ
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15)  嫉妬とはなんであるか?
    それは他人の価値に対する憎悪を伴った羨望である
                            
              
       

                       阿都次郎



 私は、根本に全てを話した。未央のこと。その未央の存在が、自分を堪らなく不安にさせること。匿名掲示板で中傷したこと。そのことで未央を追いつめたこと。


 静かに聞いていた根本は、意外にも「俺、その気持ち、分かるな」と言った。


「君は間違ってる。なんて、説教はしないよ。それより、自分の進む道を邪魔する奴がいたら、容赦なく叩き潰せば良い。資本主義の世の中では、良い人なんてのは褒め言葉ではないし、大抵そんな奴は淘汰される」


「力になるよ」と、太股に置かれた根本の手が、一段と熱を持った。


 その時、カウンターに置いた携帯が激しく震動した。成瀬からだった。


「メリークリースマース!」


ハイテンションの声が、鼓膜を揺らす。慌てて外に出ると、雪がちらついていた。白い息を吐きながら、冷たい手で携帯を握りしめた。


「美幸ちゃーん、何処にいるの?」


「今、青山のバー」


「――デェート?」


少しの間があった後、成瀬が控えめに聞いた。







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