箱女−愉しく覗き、決して開けるべからず−
[4、箱と箱と箱と箱](2/15)

「鈍感だねー。だから莉奈ちゃんに嫌われたんだよー」


ぺちゃぺちゃ、アイスを舐めながらリリアが唄うように言った。覗き穴から引き出すと、唾液が反射して光る。


「鈍感、でいいじゃん。敏感なヤツが、生きにくい世の中じゃん」


「うん、いいと思うよー」


その時、玄関のチャイムがなった。カツ、リリアがスプーンを噛み締める。抜こうにも抜けないスプーンの持ち手が、箱から突き出している。


「何、どうしたの?」


チャイムの主は、執拗に鳴らし続ける。刑事か?一瞬、しゅっとした方と、強面の方の顔が頭に浮かぶ。


「――刑事じゃないよ」


リリアが、スプーンを咥えたまま、もごもごと言った。微かに箱が揺れているので中を覗くと、震えている。


「え、どうしたの?」


「シン気を付けて、邪神が来た」


「邪神?」


「ライオンの頭と腕、鷲の脚、背中に四枚の鳥の翼とサソリの尾、蛇のペニスを持ってる、悪い神様だよ」


「は?神様が今、俺の家のチャイムを鳴らしてるの?つまり、ライオンの腕を使って?」


かくかくと頷くリリアが、両耳を塞ぐ。チャイムの主は、さっきよりも短い間隔で鳴らし始めた。






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