箱女−愉しく覗き、決して開けるべからず−
[2、箱と箱と箱](9/9)

 けれど俺は、その醜い笑顔が好きだったように思う。誰も知らない莉奈の何かを、知っている自分が誇らしかった。死んだと聞いた途端に、思い出が美しくなりかけて慌てる。


「――シン」


背後で声がした。段ボールにぽっかり空いた、覗き穴から。


「私のこと、夢落ちだったと思ってない?」


「違う。ちょっと、考えて事をしてたんだ」


「シンは、もう私に馴染んでるのね。意外に順応能力があるんだ」


「馴染んではいないけど、ちょっと大変なことがあって」


「元カノが亡くなったのね」


「――うん」


コーヒーを片手に、パソコンの前に座る。11月23日、深夜、20代女性、殺害。思いつく限りのワードを入れて、検索する。


 莉奈の事件は、既にネットで話題になっていた。飛び散った欠片を丁寧に拾って気付いたことが、一つ。思わず、リリアを振り返る。


「元カノ、箱詰めにされてたの?」


先回りしたリリアの声は、なんだか嬉しそうだった。







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