メガンテ
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携帯を握る手が汗ばんで来る。私は目の前の窓を開けて、額に浮かぶ汗を拭った。すると急に突風が吹き、花瓶が倒れ、机の上の物が部屋中に飛び散る。


「あっ!」


慌てた瞬間に、思わず携帯を切ってしまった。兎に角、部屋を片付けて、中山に電話しよう。濡れた机や床を拭き、積んであったプリント用紙を元に戻す。すると、玄関の傍にある姿見の所まで、中山の名刺が飛んで行ってるのに気付いた。


「はぁ」


溜息と共に拾い上げようとして、鏡に映った中山の名刺が目に入った。


「中山康三」の下に、ローマ字でNAKAYAMA KOHZOと印刷されてある。そのNAKAYAMAが、鏡に映って左から読めた。


「AMAYAKAN」


あまやかん。確か、フレンドノベル運営部スタッフブログを、マツやチーコに一緒に、アマヤカンも書いていた。甘い薬缶――。


 その時、やっと私はそれに気付き、長い悲鳴を上げた。甘い薬缶。つまり、Sweet*Kettle 。つまり、どういうことか。つまり――。


 私は浅い呼吸を繰り返しながら、中山の番号をリダイヤルする。Sweet*Kettleは、何故伊豆の別荘でのオフ会に参加しなかったのか。何故、成瀬は、私の住処を知ったのか、何故、タイミング良く根本の元に現れたのか。







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