メガンテ
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「俺達はバブル真っ直中に銀行に入ったろ?こっちから頭を下げて、企業に金を借りて貰う時代だった。けど、その後バブルが弾けてさー。中山は外回りだったから、きつかったと思うよ〜」


「町工場相手ですか?それは、大変だったでしょうね」


「まだ二十代だったからなー、中山も、上の言う通りに融資をストップ。ストップすると、その工場は確実に潰れる。精神的に、かなり参ってたよ」


「君は個人融資か、まぁ楽な部署で良かったね」


根本、もう一人のギラギラした目をした好色そうな男が、私の名刺をじろじろ見ながら言った。


「だけど、就職氷河期に銀行に入れたんだから、君が優秀なのは分かるよ」


「そんなことはありません――」


「なぁ、根本。確か、チーちゃんのお父さんの会社が、中山の担当だった町工場じゃなかったか?で、銀行の貸し渋りにあって、倒産。自殺した……」


「そうだったな。その自殺の一件があって、中山は銀行を辞めたんだ」


仰ぎ見ると、中山へ嬉しそうな笑顔を向ける、千鶴子と松山が居た。


「中山がチーちゃんを可愛がるのは、その罪滅ぼしだって説あるが、な」


ねぇ?と、そこで二人は意味深に笑い合った。


「え、何かあるんですか?」


「ま、男と女は色々あるってことだよ、な」


「色々、ですか」







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