メガンテ
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「チーちゃんおめでとう!」


チーちゃんと呼ばれた千鶴子が、涼しげな口元をほんのちょっと上げて私に微笑む。


「主人がお世話になっているようで」


「いいえ、こちらこそ」


「神無月さん、スピーチ、凄く良かった!」
と、興奮した松山が、親指を立てる。


「そうですか……。それは、どうも」


千鶴子が上品に頭を下げると、「中山部長のとこ挨拶しなきゃ」と、松山が彼女の背中を押した。


「そうね」


私へ軽く会釈をして、前の二人に手を振る。男達のはしゃぎようを見ると、千鶴子は彼等の中ではアイドル的存在なのだと思った。


「あの、お二人は、金融業界の方ですか?」


「え?」


「お話が聞こえてしまって。私も金融業の端くれなので、気になってしまって。すみません」


「あ、そうなんですか」


慌てて胸元から名刺入れを取り出すので、私もパーティーバックを開いた。そして、恒例の名刺交換。


「マガジンホーム……、お二人とも、出版業界の方なんですね」


「お、四菱UYJ銀行ですか。じゃ、後輩だな。俺達も銀行出身者なんですよ」







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