メガンテ
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貧弱な体に似合わないごついバイクのエンジンを吹かすと、「では、また」と成瀬をつつく。半分眠っている成瀬が、バイクの後ろから転げ落ちなければ良いが。


「気を付けて」


手を振ると、成瀬が「ばいばいーい」と、子供のように笑った。


 雨が降り始めていた。未央は傘なんて持ってる筈がなく、私の折りたたみ傘に二人して入る。未央と、こうして並んで歩くのは久しぶりだ。忘年会の帰りのような酔っぱらいを避けながら、未央は流行歌を口ずさみ、私はそんな彼女の横顔を時々眺めた。


「楽しかったー」


「うん」


「美幸、また前みたいに、一緒に遊ぼうよ」


返事ができないでいた。今の未央は、私をとても不安にさせるのだ。


 駅に着くと、「こっちだから」と言う未央に、「じゃ」と素っ気なく手を振る。


「連絡して、必ず連絡してよ」


私がはっきりと返事をするまで何度も繰り返すので、仕方なく大きく頷いた。


「分かったよ、未央」


「うん、じゃね」


レンチコートのせいなのか、去って行く未央の体は、やけに大きく見えた。








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