メガンテ
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「は、はぁ……」


「彼女の家って、結構、良い家で。その、スピーチとかもお願いしたいなーって」


彼女、と言われて、招待状に視線を落とす。


「田中千鶴子さん……?」


「実は、一緒にフレンドノベルで仕事してて。上司に誘われて、俺と一緒に転職したんです」


チズコ……、チーコ……?フレンドノベルの、運営部ブログを思い出した。


「職場恋愛なんて、憧れます!」


口ではそう言いながら、松山のずうずうしいお願いをどう断ろうか考えていた。


「スピーチはちょっと……」


「ちょ、お願いしますよー」


数回断ったが、松山はなかなか引かない。それに一番忙しい時に、窓口に居座られても困るので、「考えてみます」と返事をした。


 あれから未央は、私を避け続けた。怠け者の未央なのに、アルバイトを一日も休んでいない。お金を貯めてアパートを見付けて、ここから出て行きます。そんなことを母に宣言したそうだ。


「あんな未央ちゃん、初めてみたわ。なんだか怖い顔してた」


「良いんじゃない?やっと自立する気になったんでしょ」


「そうだけど、なんか様子がおかしかったから。また、病気が悪化して、変なことになったりしないでしょうねー」


「そしたら、病院に逆戻りすれば良いじゃない」


「あんたは全く、冷たいわね」




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