メガンテ
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 受付では、面会シートに必要事項を記入して身分証を呈示する必要があった。個人情報保護の為、面会できるのは二親等以内の家族か、患者本人(しかし殆どの場合、患者側からの申請は無効とされている)が申請した知人に限られる。勿論、私達はそのどちらでもない。


「――父の承諾は、得ています」


しかしこう言うだけで、受付の女性はにっこり微笑んで招き入れてくれた。


 案内された面会室は、狭い個室だった。不自然な小さな鏡は、マジックミラーになっていて監視されている。


「なんか、テレビの取調室みたいだね。私と美幸は休憩室で会えたのに、成瀬さんとはこんな部屋でしか会えないのか……」


「未央、監視されてるから、変なことしないでよ」


「リョウカイ」


簡易椅子をギコギコ言わせながら、未央が呑気に呟いた。


「未央、それ煩いから止めなって」


「なんかー、遅くない?」


私の言葉など耳に入らないのか、壁に掛けられた時計を見上げる。


「そう言えば、そうだね」


三十分近く待たされた後、ドアが激しくノックされた。


「あれ、お父さん?」


夜勤明けのいつもの不機嫌な父が、乱れた髪を掻き毟っている。








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