メガンテ
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「美幸さ、私の書籍化が、ずっと妬ましかったんでしょ。だって、自分はコンテストに落選したんだもんねー。美幸の両親が私を可愛がるのが、我慢ならなかったでしょ。だから、仕返しでしょ?」


「ちょっと、待ってよ……」


言いかけると、未央が私の頬を思いっきりひっぱたいた。


「いいよ、成瀬さんなんか、美幸にあげるよ。私には書籍化があるもんね、別に良いもん、男なんて、良いもん!」


頬が熱い、痛い。この未央の言葉が、強がりなのは分かっていた。病院で、成瀬への思いだけを支えに、乗り切っていたのも分かっていた。支えを失って、動揺し、その気持をどう表して良いのか分からないのも察しがつく。だけど、これは理不尽過ぎる。


「書籍化なんか、とっくに無くなったよ!」


「――え?」


部屋を出て行こうとしていた未央が、振り返る。全ての支えを一瞬にして無くした人間は、こうも呆けた顔をするのか。


「書籍化の話は無くなったの。未央がイベントに穴を開けたことで、会社が損害を負っただんだよ。未央の書籍化は、な・く・な・った・の!」


「美幸が何を知ってるって言うの?何も知らないじゃん!」


「運営部の人と、偶然に知り合ったの!信じられないなら、運営部に電話してみなよ。書籍化なんか、ありませんよ!って言われるから」


「――いつ、その話を聞いたの?」








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