メガンテ
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「最近、いつもこうなのよ。お酒飲んで暴れてるみたい」


「ちょっと、中の様子を見て来ます。警察は、少しだけ待ってください」


「あんた大丈夫?警察呼んだほうが良くない?」


そう言って如何にも心配そうな顔をしたが、実は未央達の生活が気になってしょうがない。その目の色で分かった。


「おばさーん!美幸です!おばさーん!」


チャイムを数回鳴らすと、がちゃりとドアが開く。その隙間から、血走った目がぎょろりと私を捉えた。


「おばさん。私です。未央の友達の、美幸です」


「神無月さんとこの?」


「そうです」


ぐいとドアが大きく開くと、古いアルコール臭が漂って来た。


「こんにちは」


頭を下げると、がりがりに痩せ細ったおばさんの足首が見えた。そこに、ゴムが伸びきった薄汚れたソックスが引っかかっている。ゆっくりと上げた視線が、窶れきった顔に到達すると、ひゅう、私の喉の奥が鳴った。土色の顔に、大半白髪になった長い顔がばさりと垂れ下がってる。筋肉さえ削げ落ちたその顔は、喜びを表現することも難しいようだ。痩せることのできぬその眼球だけが、ただ、くるくると躍っていた。













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