メガンテ
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未央の母親は、離婚してからアルコールに溺れた。そして数年前から依存症と診断され、更正施設への入退院を繰り返している。ゆらゆらと体を揺らしながら帰って行く、未央の後ろ姿を眺めた。狂って行く人間が、目の前にいる。


 暫くしてカーテンの隙間から外を伺うと、街灯の下で未央が佇んで居た。どうやら食い入るように見つめているのは、携帯の画面のようだ。ふと、その俯く顔がこちらを振り返った。醜く歪んだ、夜叉の顔。


 そう言えば昔、祖父の家に死刑囚が彫った夜叉の面があった。未央の顔に、その面が重る。夜叉の面が、全ての悪を彫り込んで作られたのなら、今の未央を作ったのは、間違いなく私だ。


 私が、あの醜い女をコントロールしている。母親はアルコール依存で、娘は携帯依存か。何かに依存しなければ生きられない、弱い奴等。そんな奴等は、消えて無くなれば良いのに。


未央が消えて無くなる!


そしたら、どれだけすっきりするだろう!私はカーテンの後ろで、涙を流しながら笑い転げた。


















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