メガンテ
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 小さなキャンドルが入り口へ続く階段に沢山置かれ、夜風に揺れていた。薄暗い店内に入ると、白いシャツを粋に着こなしたマスターが微笑む。


「やあ、いらっしゃい」


 シャツはシンプルだが、良質な素材だと分かる。松山と、この洒落たバーの繋がりが分からないでいると、「上司に良く連れて来て貰うんです」と、種明かしをしてくれた。自分の手柄にしないなんて、欲の無い男だ。この調子なら、出世も難しいだろう。ステップアップ転職はないな。と、小さく呟いた。


「素敵ですね」


それは本心だった。天井から下がる沢山のランプと、キャンドルグラスの中で揺れる柔らかい炎。


 黙っていると変な雰囲気になってしまいそうだったので、「お仕事の話、もう少し聞かせて下さい」と、振ってみた。


「お仕事。の、話ですかぁ?」


丁度届いたジントニックを勢いよく啜ると、松山はやや興奮した面持ちで話し出した。


「俺はもともと、無料のホームページが作れるサイト「フレンドページ」の管理が仕事だったんです。それが、去年の四月に現部署に異動になって……まぁ、ばたばたしてます」


「お忙しいんですね」


「まぁ、それも仕事ですからね」


その時、膝の上に乗せているバッグが震えているのに気付いた。携帯を確認すると、着信が十二件。全て、未央からだった。


「ちょっと、失礼します」


急いで表に出て電話すると、ワンコールを待たずに未央が悲鳴を上げる。













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