メガンテ
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「年齢は?会社員の方ですか?勤続年数は?会社名を伺えますか?ご年収は?現在ご返済中のローンは?」と、事務的に必要事項を確認する。


この仕事を長く続けていれば、見ただけで客の属性が分かるのだ。属性の悪い客を長々と相手にしてもしょうがない。そして松山は、余り時間を掛けたくない類の客だった。


「二十八歳、契約社員。勤続年数三年、株式会社ドリームワーク、年収三百万円」


「株式会社ドリームワーク?」


「はははは、ワークスじゃないんです。アメリカの映画制作会社の」


愛想笑いをして「分かってます」と冷たく言うと、松山が首を竦めた。この男は自分の状態を、分かっているのだろうか?銀行の融資担当者がシビアな目で値踏みしているというのに、良くこんなくだらない冗談が言えたもんだ。


「具体的には、どういうご職業なんですか?」


「はぁ、携帯のサイトを運営してるんです。素人さんが小説なんかを投稿したりできる。一応携帯会社の公式サイトなんですよ。俺は運営部に在籍してます」


「ああ、そのサイト、見たことあるかもしれません。小説投稿サイトなんて、素敵なお仕事ですね」


私の返事に気を良くしたのか、松山健二はワックスで飛び跳ねた髪先を指で捻った。


「今のご年収から、判断させていただきますと、二千万円でお申し込みしていただけると思います。ですが、先程申しました通り、ご融資可能かは正式にお申し込みして頂く必要があります。ですので、この金額はお目安としてください」


「はいはい。結構な金額まで、オッケーなんだ〜。へ〜」


「目安」と言う私の話を理解できていない松山は、益々機嫌を良くする。勤続三年、立ち上げてから間もない携帯サイトの会社。年収も低いとなると審査も厳しくなって、土地を所有してると言っても融資は難しいかも知れない。けれど、松山はフレンドノベルの管理会社に勤めているのだ。












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