メガンテ
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「厨二病」


「辞書持ってないの?誤字くらい直そうよ。てか、高校行って勉強し直せよ」


私のレビューに釣られてて、そんな書き込みがどんどん増えていった。しかも最初は作品に対する批評だったのに、だんだんと未央自身を中傷する内容になっていく。


「高校も出てない作家の書く話なんて、この程度(笑)」


「中卒でフリーター(笑)底辺に生きる人間の妄想を、文字にして公開すんな。チラシの裏にでも書いておけ」



 負の感情が連鎖し、悪意に悪意が重なる。この感想を見ながら、未央がどんどん追い詰められて行く姿が目に浮かんだ。


 不思議なことに、未央からの連絡はぷっつりと途絶えた。フレンドノベルでも作品を更新していない。何かあったと感じてはいた。が、連絡してしまうと、反射的に未央を励ましてしまう可能性がある。今までも、未央は私の言葉で直ぐに立ち直った。単純な女。今回だけは絶対に、助けない。





… ◇ … ◇ …





「どうしたの?部屋、掃除してないの?」


部屋の隅で、未央は膝を抱えて子供のように泣いていた。とうとう未央は、私に連絡して来なかった。その代わり、おばさんから悲鳴に近い声で電話が入った。


「美幸、何しに来たの?」


「おばさんから、電話があって。――未央が、部屋から出て来ないって……」


「お母さん、電話したんだ。するなって言ったのに!」


未央がその長い髪を掻き上げた瞬間、据えた匂いが鼻を突いた。白いTシャツの襟口は垢で汚れて、飲み物の染みが至る所に付着している。シャワーも浴びず、食事も殆どしないとおばさんは言っていた。もう何日寝てないのだろう。土気色の頬に涙が流れ、充血した目を見開いて私を睨み付ける。


「帰ってよ!美幸には関係ないでしょ!」


「どうしたの?ずっと、ここにいるの?」









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