メガンテ
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「未央、今度の作品も面白かったよ」


私は未央の作品を酷評したい気持を押さえて、当たり障りのない感想を言った。こんなに人気のある未央の作品を悪く言ったら、まるで妬んでいるようじゃないか。そんな風に思われるのだけは嫌だった。


「本当?本を沢山読んでる美幸に褒められたら、凄く嬉しいよ。美幸も、書いてみたら良いのに。読書量が半端じゃないから、絶対良いもん書けるよ」


いつもの呑気な口調が、今日は特に神経に触る。私はフレンドノベルに登録はしていたが、読むこと専門だと言っていた。


「うーん。私は、読む方が好きだから」


普通に言えただろうか?喫茶店の窓ガラスに映った私の顔は、怒りで歪んでいる。本当は昨夜書き上げた作品を、朝一番に投稿していた。こうして未央と話している間に、誰か読んでくれはしないだろうか。そればかりが、気になっていた。


「未央は、作者ランキングでも、作品ランキングでもダントツ一位だもんね〜、凄いね!」


「たまたまだよ」と、満更でもない笑顔を向ける。


「本とか出せるかもね?」


「私、作家とか興味ないから、さ」


のんびりした口調で、アイスコーヒーを啜った。しかし、ストローを咥えた口元が微かに微笑んでいる。その余裕の表情が、私をますます意地悪くさせた。


「ねぇ、未央は将来どうするの?ずっと、サンドイッチを作る人生で良いの?」


「そんなの、わかんないよ」


笑顔が消えて、頬が微かに膨らむ。その幼稚な反応に、私は満足する。








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